2010年05月03日

Summertime/Ella Fitzgerald

【エラ・フィッツジェラルド】 Ella Fitzgerald
本名 エラ・ジェーン・フィッツジェラルド (Ella Jane Fitzgerald)
1918年4月25日〜1996年6月15日
アメリカ合衆国のジャズ・シンガー。サラ・ヴォーン、ビリー・ホリデイと並び称される女性トップ・ジャズ・ボーカリストの一人。

1918年バージニア州生まれ。34年にアマチュア・コンテストで優勝しチック・ウェッブ楽団の専属シンガーとなります。ウェッブの死後楽団のリーダーも勤めましたが、ソロとして独立し48年以降ノーマン・グランツのJATPコンサートに参加して実力を発揮、大きな評価を得ました。

52〜71年のダウンビート誌の批評家投票で連続1位を獲得するなど人気も絶大なものがありました。50年以上にわたりジャズ界に君臨してきた、まさにファースト・レディと呼ぶに相応しい人物でしょう。声や曲の解釈、独創性、テクニック、スイング感のいずれをとってもNo.1と呼べる巨人でもあります。バップ・スキャットを取り入れてバラード唱法を確立、ジャズ・ヴォーカルの表現の領域を拡大した功績も大きいものがあります。

「歌うことより良い事は、もっと歌う事だ」というのが彼女のモットーであった事は有名です。86年から引退生活に入り、93年に糖尿病の合併症のため両足の切断手術を受けています。1996年6月15日カリフォルニア州ビバリ-ヒルズの自宅で死去しました。
『OOPS! Music Community』 より

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【Summertime について】
ジョージ・ガーシュウィンが1935年に書いたオペラ『ポーギーとベス』の中の一曲。このオペラは黒人のみのキャストで当時フォーク・オペラと呼ばれましたが、デュポーズ・ヘイワードが1925年に書いた小説『ポーギー』が基になっています。

ガーシュウィンは1926年にこの小説を読んで感動し、ヘイワードにオペラ化を申し入れました。ヘイワードは劇作家の妻ドロシーの協力を得てこの小説を劇化し、その数年後に他のオペラの作曲を終えたガーシュウィンが本格的に参加します。

1935年9月、ようやく全3幕9場の『ポーギーとベス』が完成し、1935年10月10日、演出ルーベン・マムリーアン、主演トッド・ダンカン(ポーギー)とアン・ブラウン(ベス)によりブロードウェイのマルヴィン劇場でオープン、124回公演となりました。

台本はヘイワード、歌詞はジョージの兄アイラ・ガーシュウィンが書いています。ガーシュウィンの死後に再認識されて全米各地、ヨーロッパで上演され、ガーシュウィンの最高作、アメリカのオペラの最高傑作と評価されています。

1959年には映画化され、シドニー・ポワチエとドロシー・ダンドリッジが主演、ダイアン・キャロルが歌っています。映画、ミュージカル、ともにこの曲は赤ん坊を寝かしつけるための子守歌として歌われています。

夏は暮らしやすいよ
   魚は跳ねるし 綿花は育つ
   ダディ金持ち マミーはきれい
   だからいい子だ 泣かないで

とまさに子守歌。でも単純にああ夏っていいなあという詩ではありません。

当時の南部黒人の生活の貧困さや人種差別が前提にあり、そういう黒人たちにとって赤ん坊は「希望」であり、「未来」を象徴する存在でもありました。虐げられた者たちの夢を歌い、希望を棄てるなと歌っています。どんなに過酷で悲惨な状況でも未来はある、と歌っているのです。

ところでこの曲、どことなくある曲に似ていると思いませんか。そう、St.Louis Blues!出だしのメロディーなんか特にそうですよね。ガーシュウィンもそれは認めているようですが、実際に強く影響を受けたというか、インスパイアされたのは黒人霊歌の『時には母のない子のように』だったようです。

やはりジャズのルーツは行き着くところ黒人霊歌ということになるのでしょうか。


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さてこの曲を取上げているアーティストですが、ジャズ界だけにとどまらず、ポップスからロック、R&Bまで実に幅が広いのには驚かされます。

まずは初のジャズ・バージョンとして注目されたビリー・ホリデイ。その後、シドニー・ベシェ、エラ・フィッツジェラルド、ダイナ・ワシントン、ジュリー・ロンドン、サラ・ボーン、ヘレン・メリルなど多くの歌手が歌っています。

インストではまずチャーリー・パーカーがストリングスをバックに、アドリブの天才としての才能を遺憾なく発揮しています。他にはマイルス・デイビス、ジョン・コルトレーン、ハンク・ジョーンズ、スタン・ゲッツ、ジョージ・ベンソン、ビル・エバンス、ソニー・クリス、ジョー・ヘンダーソンなどジャズ界の錚々たるプレイヤーが取上げています。

個人的にはポール・デスモンドのクールで柔らかなアルトが大好きです。ハービー・ハンコックはジョニ・ミッチェルのボーカルのバックで、スティービー・ワンダー、ウェイン・ショーターという豪華な顔ぶれのソロイストたちとピアノを弾いています。またロック界ではジャニス・ジョブリン、ソウル・R&Bではルー・ロウズもこの曲を取上げています。




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【この曲が聴けるアルバム】

Porgy & Bess with Ella Fitzgerald & Louis Armstrong

Porgy & Bess with Ella Fitzgerald & Louis Armstrong

  • アーティスト: George Gershwin,Russell Garcia,Ella Fitzgerald,Louis Armstrong
  • 出版社/メーカー: Verve
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD




West Coast Jazz

West Coast Jazz

  • アーティスト: スタン・ゲッツ
  • 出版社/メーカー: Universal/Verve
  • 発売日: 1999/04/27
  • メディア: CD




レディ・デイ:ザ・ベスト・オブ・ビリー・ホリデイ

レディ・デイ:ザ・ベスト・オブ・ビリー・ホリデイ

  • アーティスト: ビリー・ホリデイ
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2002/11/20
  • メディア: CD




Porgy and Bess

Porgy and Bess

  • アーティスト: マイルス・デイヴィス
  • 出版社/メーカー: Sony/Columbia
  • 発売日: 1997/03/27
  • メディア: CD




My Favorite Things

My Favorite Things

  • アーティスト: ジョン・コルトレーン
  • 出版社/メーカー: Wesgram
  • 発売日: 1994/06/16
  • メディア: CD






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posted by jazzinn5 at 21:07| Comment(0) | TrackBack(0) | Summertime | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする