1904年3月1日〜1944年12月15日
アメリカのジャズミュージシャン(トロンボーン奏者、作曲家、アレンジャー、バンドリーダー)
アイオワ州クラリンダ生まれ。コロラド大学時代からテリトリー・バンドでトロンボーンを演奏していましたが、26年ペン・ボラック楽団にトロンボーン奏者兼アレンジャーとして参加し、28年まで活動しました。30年にはレ ッド・ニコルスとの共演やショーのビット・バンドでも演奏しています。
34年にドーシー・ブラザース・バンド、35年にレイ・ノーブル楽団で演奏し新しいサウンドヘのきっかけを掴み、37年に自楽団を結成しますが不発に終わり、38年3月にバンドを再編成しました。ビル・フィネガンらをアレンジャーに迎えたバンドは39年に絶大な人気と評価を獲得し、42年の兵役までミラー楽団は全米最高の成功を獲得しました。
除隊後はアーミー・エアフォース・バンドを率い て海外を慰問するなどして大活躍しましたが、1944年12月15日、イギリスからパリへ向かう途中に事故死。搭乗機が行方不明となり、一年後に正式な死亡通告が成されました。
ミラーはトロンボーン奏者としてよりは、バンド・リーダーとして最高水準の才能と能力を発揮したという評価が高いようです。
『OOPS! Music Community』 より
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【Serenade in blue について】
1942年の20世紀フォックス映画 『Orchestra Wives』(邦題 『オーケストラの妻たち』)で使われた曲で、作曲ハリー・ウォレン、作詞はマック・ゴードンです。
この映画の主題歌として、グレン・ミラー楽団の演奏でレイ・エバールが歌ってヒットしました。グレンはこの時、名アレンジャーと言われたビリー・メイとビル・フィネガンの2人に編曲を担当させるほどの熱の入れようだったようです。(現在のグレン・ミラー楽団の演奏では、ジョー・フランシスが歌っているのが1990年にレコーディングされています。)
ハリー・ウォレンとマック・ゴードンのコンビによる曲は他にも何曲かありますが、『Chattanooga Choo-Choo』や『You'll Never Know』 『The More I See You』 『There Will Never Be Another You』 などがよく知られています。
当時は他にベニー・グッドマンやトミー・ドーシー、アーティー・ショーなどの楽団もこの曲を取り上げ、ビッグ・バンド・バラードの傑作と言われました。
その後はディック・ヘイムズ、ビリー・エクスタイン、フランク・シナトラ、ドリス・デイ、メル・トーメなど多くの歌手が歌い、インストではテディ・ウィルソン、ジョージ・シアリング、エロール・ガーナー、スタン・ゲッツなどの演奏もあります。
ちょっと変わったところでは、60年代後半に活躍した男女混声ソフトコーラスグループ、ジョニー・マン・シンガーズのコーラスもあり、実は個人的にかなり好みであったりします。
ドリス・デイの歌の歌い出しの部分やバックなどでも聞かれるこのようなモダンで緻密なハーモニーは、もしかしたらアメリカ人の得意な表現方法かも知れません。
あの世界的に有名なディズニーの映画などでもよく使われていますが、『When you wish upon a star』などはその代表でしょう。
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この曲のメロディーのテーマ部分は、聞いていて何とも心地よい、安らぎの音程を感じるのに対し、ブリッジの部分の一本調子で退屈な音の繰り返しはこの曲の特徴のようです。
しかしこれを退屈といってはいけないようで、作曲家のアレック・ワイルダーはこう言っています。
「ブリッジは同じ音の大胆な繰り返しだ。6小節がどれも同じ4つの音群から始まる。が、どの小節も残り2拍は非常に細かい変化を見せる。この変化は単調さを避けるためだが、それだけでなく、変化そのものが最初の2拍の反復を要求しているようにも見える。これはとてもグルービーで、すべての歌手やバンドが好むにふさわしいものだ」。 (中央アート出版社刊『ジャズ詩大全』第13巻P174 村尾陸男氏訳)
なるほど、確かに残りの2拍の細かい変化を味わうことができれば、決して退屈などとは思わないどころか、”かっこいい”とさえ思えるようになってくる、そうおっしゃっているのです。
う〜ん、そういえばそれと同じようなことは他の曲でもありますね。『C ジャム・ブルース』とか『ワン・ノート・サンバ』なんかはメロディそのものがそうだし、あと『Moonlight in Vermont』なんかもこの曲と同じようにブリッジの部分が同じ音の繰り返しになっています。
思うに、DTMなどで音を合成してmidiファイルを作ったりするときって、こういう部分はそれこそ退屈になってしまうんでしょうけど、歌手が自分の思いや解釈を歌に乗せるときはもうそんなのは全然気にならなくて、逆にそこに自分の感情を託することでそれこそグルービーになるんでしょうね。
もちろん演奏も全く同じことがいえるわけで、そういう意味ではこういう部分を含んでいる曲っていうのはむしろジャズにふさわしい曲ということになるのでしょうか。
作曲したハリーさん、退屈だなんて言って失礼致しました。(^^ゞ
『Midnight Jazz Report』 より
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【この曲が聴けるアルバム】
Doris Day's Sentimental Journey/Latin for Lovers
- アーティスト: ドリス・デイ
- 出版社/メーカー: Collectables
- 発売日: 2001/11/27
- メディア: CD
Great Band With Great Voices/Swing the Great Voices of the Great Bands
- アーティスト: ジョニーマン・シンガーズ
- 出版社/メーカー: Taragon
- 発売日: 2002/12/10
- メディア: CD
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